初期費用高くないですか? でもその初期費用意外と簡単になくすことができますよ。
まずはこの写真をご覧ください。
これは最終的に僕が契約した内容です。最初期にもらった見積書は紛失してしまったのでお見せできませんが一番最初の見積書はなんと25万円でした。(店頭で口頭で下げた見積書を最後に掲載していますがそれが17万5千円です)それが6万円になりました。
今回は僕が賃貸契約をした際のやり取りを参考に不動産業界の実態と無駄な初期費用を減らす方法を共有したいと思います。また不動産会社とのやり取りの過程ともに徐々に下がっていく見積書も掲載していますので是非ご覧ください。
- 不動産業界の闇と登場人物を理解する
- 有利な条件で勝負する
- 相手(仲介業者とオーナー)をやる気にさせる
- 勝負は家に帰ったあとでのやり取り
- ルール(法律)と対処法。魔法の言葉「ガイドライン」
- さいごに
何事においても情報は有用です。もちろん詳細な知識を持っているにこしたことはないですがどうぞ皆さん身構えないでください。まずは大まかに二つのことを理解するだけでいいです。
不動産業界の闇と登場人物を理解する
この記事を書いているのは令和3年ですが不動産業界には未だに多くの風習が残っています。
例えば敷金と礼金の礼金。これは高度経済成長のなか多くの人口が都会に出ていく際に大家やお世話をしてくれる方に払われていたものです。当時は今よりもずっと人が多く、繁栄期には人の行き来で起こる混乱で家具などは現地で揃えるのは普通でした。そのため大家以外に引っ越しのお世話をする人がいて、布団など最低限の生活ができるように用意してくれることも珍しくありません。もちろんお世話をしてくれる人がいなければ困ってしまいます。タクシーに3万円見せても止まってくれない時代ですから礼金は必要だったでしょう。
ですが今は時代が違います。質の悪いサービスに礼なんていらないですよね。
今回の無駄な初期費用の削減はこの不動産業界のグレーな事情を押さえることによって簡単に実現できます。
先ほど仲介業者という言葉が出てきましたが一括りに不動産業界といってもたくさんの人がおられます。ですので今回は分かりやすくするためにあなたが実際に賃貸を借りる際に登場する人物を紹介します。
- あなた(賃借人)
- 大家(オーナー、物件を所有している人)
- 仲介業者(あなたとオーナーの間にたって物件の紹介や手続きをする人)
- 管理会社(物件を所有、または管理している人。たまに仲介業者もやってることもあるが、ほとんどでてこない。入居後はあなたとオーナーの間に入るのでやり取りすることが増えるかも)
これだけです。例外はありますがこれだけなので覚えてください。
そしてあなたが戦うのは仲介業者です。あなたは仲介業者とやり取りをし、仲介業者と物件を見に行き、賃貸契約するまでのすべての時間を仲介業者と過ごします。そして悪さをするのはたいてい仲介業者です。
有利な条件で勝負する
対戦相手が決まりました。でもわざわざ不利な条件で勝負をする必要はありません。僕は以下のようなことを意識しました。
不動産繁栄期は人が行き来する時期です。具体的には受験生や新社会人が動く1月前後から4月いっぱい。転勤などで人が動く7月前後から9月まで。この時期は需要と供給の関係から不利です。仲介業者のもとには嫌でも客が殺到します。キャパオーバーなどでサービスの質も落ちる可能性がありますし何より初期費用下げろなんて言ったら一蹴されてしまうかもしれません。ですのでできることなら向こうが暇なときに行くといいです。
僕は10月の中旬に物件を探し始め仲介業者を3件回りました。どこも暇そうで比率の偏った婚活パーティーみたいな状態でした。数少ないお客さんなので丁寧に話を聞いてもらえます。ですが人が動いていない時期ですので繁栄期に比べると空き物件の数が少ないというデメリットもあります。
あなたは相手を選べます。ボクシングの世界だったら自分よりも評価の高い相手に勝たないと意味がないしチャンピオンになっても強い相手と闘わないとファイトマネーは膨れ上がりません。ですが賃貸を借りる場合強い相手に勝とうが弱い相手に勝とうが違いはありません。違うのは初期費用だけです。
まずは2件以上不動産会社を回りましょう。気になっている物件があるなら「内覧したい」と言って一緒に回りましょう。自分の条件やこだわりなども言って仲介業者に物件を紹介してもらいましょう。最後に気になった物件の初期費用を印刷してもらいましょう。
担当の人間の人柄、初期費用などを比較してよさそうだと思った仲介業者を選びましょう。
僕は担当の人柄だけで判断しました。3件回った不動産の担当が、仕事ができそうな30過ぎの男性、適当さが言動の機微に浮き彫りになる壮年の男性、若くて真面目そうな感じの女性でした。僕は若くて真面目そうな女性を選びました。彼女は親身になって話を聞いてくれていたし、まだ仕事に慣れていなさそうだったので同じく慣れない賃貸契約をする僕にはちょうどよいと思いました。年齢が同じで話しやすかったというのもありました。一緒に物件を回っているとその人の人柄というものが少なからず見え隠れしますので大きな判断材料になります。
初期費用はどうせ下げるので金額は家賃以外気にしませんでした。ですが話をするときに下げにくそうなものは避けていました。ネットで下調べしてはいましたが専門家ではないので知っていることだけで交渉を進めようと思いました。
相手をやる気にさせる
物件や不動産会社の担当を伺いつつも、なるべく自分の情報の流出は避けたいものです。ですがあまりにもあなたが分からないと担当の人も不信に思いますし、最悪客に見られないことだってあるかもしれません。
時間(タイムリミット)を設定すると人はものに対しての見方が変わります。スポーツから制限時間を取るとなんでもありになってしまってつまらないし、仕事の時間が定められていないと現実感がありません。
「何時までに絶対に入居する」
ですがこの言葉を聞くと途端に真実味が増しますし、その時間が近づいてくると焦燥感がわいてきます。あなたが不動産会社で働いていたとして、何時までに絶対に入居すると言うお客がいたらどんなに頼もしいか想像してください。絶対に自分の客にするって思いますよ。
不動産会社がなにをしてようと、あなたの担当は人間です。ですので相手を不快にさせる言動は避けたほうがよいでしょう。社会人として当たり前の行動は当たり前ですが、初期費用は下げれるので予算も多めに掲示して太客アピールをしときましょう。目安として僕は家賃と共益費含めて四万前後で探していたので、賃料に問題がなければ初期費用は気にしていませんでした。
気をつけたいことが一つあります。それはおそらく聞き飽きたであろう値下げ交渉をその場ですることです。
ですので絶対に賃料安くしろだとか初期費用のこれがいらないだと言わないでください。
大事なことなので二回言いました。初期費用を安くするという記事を書いているのに矛盾しているって? 焦らないでください。その場で交渉するのがまずいと言っているだけです。いいですか。これまでのことはまだ勝負のリングにもあがっていないような状態です。次が賃貸物件の初期費用を下げる闘いの本番です。
勝負は家に帰ってからのやり取り
仲介業者も決めました。物件も決まりました。ではさっそく無駄な初期費用を可能な限りそぎ落としましょう。
家に帰るとあとは担当の人とやり取りをしていくことになります。その際電話だと相手のペースでまくしたてられてしまう可能性があるのでメールかLINEなどでの文章でのやり取りをしましょう。文章の方が時間の制約がないしこちらのペースでやり取りできます。そしてなにより履歴が残ります。スクショしときましょう。
それに相手は一応プロであり会社という組織です。不動産や賃貸の法律に詳しい人が後ろについています。なので分からないことがあっても調べることができる文章でのやり取りがもっとも適しています。
相手がプロだと聞いて尻込みした方は安心してください。相手がプロだろうがなんだろうがルール(法律)は変わりません。
ルール(法律)と魔法の言葉「ガイドライン」
まず絶対的なルールである法律を把握しておくことで1000%そぎ落とせる初期費用があります。
これは仲介業者に支払われる対価であり、仲介業者の収入源です。覚えてほしいことがあります。それは仲介業者が取っていいのは仲介手数料だけだということです。引っ越しが終わるまで復唱してください。
仲介業者は家主と入居者から家賃の1ヶ月分しか仲介手数料を取ってはいけないと法律で定められています。それと同時に入居者からは家賃の0.5ヶ月分しか仲介手数料を取ってはいけないことにもなっています。つまりあなたが払う仲介手数料は家賃の半分でいいわけです。家賃+共益費ではなく家賃だけですよ。僕の業者のようにしれっと共益費+家賃の半分で算出してくることもあるので気をつけてください。
無駄です。仲介業者が取っていいのは仲介手数料だけです。僕は見たことはありませんがもし請求されたらはっきりと「こちらが負担するものではないはずです」と断りましょう。
家主が負担するものです。借りる側が用意するべきものではありません。法律で用意しなければならないことになってますがそれは家主側がやることです。
簡易消火器は賃借物(あなたが借りる物件)の一部です。つまり簡易消火器を用意していないのに物件を売り出していること自体がアウトなわけです。
これも絶対そぎ落とせるものです。必要ありません。いりません。はっきり言ってやりましょう。貸主は賃借人が転居した場合部屋を清掃しなければなりません。もしくは契約で前入居者が退去時にクリーニング代を出しているはずです。つまり物件を出しているとうことは部屋が綺麗になっている状態、あるいは綺麗になる段取りがついている状態なわけです。
あなたは内覧に行きましたよね? 害虫は沸いていましたか? 汚かったですか? 消毒は必要でしたか? 「内覧に行った際に見たけどいらない」こう言えるように内覧は必ずしておきましょう。
火災保険は入らなくてもいいですが、実際問題火災保険に入らないと入居させてもらえないというのが実のところです。僕の場合もそうだったので渋々火災保険に入ることになりました。でも僕が入った保険は自分で選んだ年3000円ほどの保険です。仲介業者などが指定するバカ高い火災保険に入ることは強制ではないからです。それに年3000円の保険でも詐欺まがいの仲介業者が強制してくる保険よりもずいぶんと保証が充実しています。
上記のものは法律で定められているためこちらが指摘すれば必ず省くことができます。ですが他にも不当に請求されているものはたくさんあり、そのほとんどはこちら次第で省くことができます。すべてを細かく説明するわけにもいかないので請求内容と対処法を簡単にリスト化しますね。参考になれば幸いです。
- 仲介手数料
- 書類作成費等
- 簡易消化器代
- 害虫駆除・室内消毒
- 火災保険
鍵交換費
○○入居者サポート ○○24時間サポート等
ハウスクリーニング代
保証会社加入料
これらは交渉ではありません。無駄の指摘です。
交渉は家賃の値下げや、フリーレントと言って入居時の初月の費用などを無料にしてもらうことなどです。これらは大家とのやり取りになります。
詐欺まがいの実情を指摘し、やり取りをしているとなかなか話が進まないことがあります。相手もお金になることなので必死です。そういったトラブルを回避するために法律でしっかりと定められているのですが、いちいち相手の言葉に対して「それは賃貸物件法何条で定められている」なんて言ってらんないですよね。そんなあなたに魔法の言葉を紹介します。
現状回復をめぐるトラブルとガイドラインです。
これは国土交通省が公開している貸す側と借りる側のトラブルの防止を目的とした参考です。
これはあくまで法律ではなくガイドラインです。ですが国がトラブル防止のためにわざわざ定めているものなので法律と同等の効力があります。ここに明記されているものを指摘するときにこれを使えば相手は食い下がらざるを得ず、なにより不毛なやり取りを減らすことができます。
最初から借りる側は不当に設定された初期費用を正当にしてもらいたいだけですからね。
上記の初期費用を削ることは交渉ではないと思います。そもそも大家とやり取りしてないですからね。
僕の実際のやり取りの記録
すべてのやり取りを残しているわけではないので場面場面になっているところもありますが画像を公開します。
まず事前に口頭で無駄なものを削れるだけ削りました。逆に言えば口頭ではそれ以上削れませんでした。そして後日の文章でのやり取りがこちら。
入居審査の結果と、フリーレントの交渉をしていたのでまずはその報告ですね。「家賃を一ヶ月フリーレントにしてくれたらすぐに契約する」ということを大家に伝えてほしいと仲介業者に頼んだところあっさりと決まりました。言い得ですね。
続いて簡易消火器と消毒代です。消火器は削れたけど何故か消毒剤は必須との回答。
そしてしれっと仲介手数料の回答がありますが、これは仲介手数料は家賃の半分だと指摘して変更された金額が家賃と共益費を合わせた額の0.5月分だったので再度指摘して返ってきたものです。
ですがまた不適切な金額が記載されていました。下記で再度指摘しますがその際の苦し紛れの回答が消費税で計算してたとのこと。でも仲介手数料は消費税とか入れずに家賃の0.5ヶ月分ですからね。
消毒剤について強制かどうか聞きます。そして必須という言葉があったので誰が言っているのか確認しました。こうして証拠が残るので仲介業者も慎重になりますね。
火災保険は任意の年3000円の保険に入りました。18000円のなんて入るわけがないですよね。
管理会社が必須と言っているとの回答。もちろん本当かは信じません。
この時点で十五万くらい初期費用削ってます。必須という言葉を曲げないあたり向こうから必死さが伝わってきました。
しつこいのでここで魔法の言葉「国土交通省のガイドライン」を発動。
さらに追加で今度は鍵交換費を削りに行きます。
あれだけ粘っていた消毒代も一発です。本当に魔法の言葉なんですよ。
国土交通省ありがとうございます。
鍵についてです。僕は本当に前の人と同じでよかったのですがその場合鍵が何故か一本になり、トラブルがあっても自己責任の同意書を書かなければならないようです。
この時点で大満足していたのですが、あまりのも簡単に、本当に面白いように初期費用が削れてしまうのを見て、僕のなかである感情が生まれました。
これどこまでいけるんだろうか。
鍵交換費も負担してもらうことにしました。鍵も賃借物(借りる部屋など)の一部なので入居者が負担するのはおかしいです。まともな状態で売らなきゃならないですからね。それに覚書を書くのが面倒なので嫌でした。鍵が一つなのも不便だし、作りに行くのも面倒だしお金もかかります。ちなみに電話はしてません。
しかし人間ちょうどいい塩梅を持ってないとだめですね。経済戦争も相手を追い詰めすぎると武力戦争に進展します。仲介業者は土俵際で粘る力士のように鍵交換費のために耐えます。
国土交通省のガイドラインを目安だと認めているので絶対にいけると思いました。最後の追い込みをかけましたしたが返答は
これ、ようはそれ以上言うなら客として見なさないという判断が会社として下ったということですよね。
ずるくないですか?
ただし当事者間の合意により特約で賃借人の負担とすることは問題ありません。
これが野放しにされているのは大きな問題だと思います。なんでもありです。やめませんか?
無知をだまして利益を得るのはこの社会の構造上仕方がないことだけど、土地という大きな枠組みを扱う不動産業界でこれが常態化しているのは健全ではないと思います。新興宗教や詐欺紛いののクラファンなどの介入も場所も限られたものでもあるまいし。日本という国に住んでいるすべての人は日本という土地に立っているんですよ。
こういうのってサービスや商品の質で勝る他社と競合した結果淘汰されてなくなっていくか、生き残るために改善されていくものだと思うんですが、淘汰されていないということは皆騙されているということですよね。あるいは質で勝負したら生きていけないという状態を作っている法や体制に問題があるのか。いい商売ですよね。僕の一人暮らしの比較的価格の安い物件でさえ何も言わなかったら無駄に入居する前の段階で二十万以上取られるんですよ。この二十万がなかったらコロナショックで僕死んでます。
手打ちです。
好奇心から探ってみましたが、客として見てくれないのは困ります。本当にこのときの僕は急いでいたし、その月の翌月後には転居している必要がありました。テノヒラクルー
将棋盤をひっくり返されたような気持ちでしたが、結局鍵を前の人のまま使うことにして後日契約しにいきました。
ですがそのあとしょうもない珍事がありました。
それは鍵の受け渡しの日でした。担当の方にあいさつをして書類と一緒に鍵を受け取ると、何故か鍵を二つ渡されました。理由を聞くと手違いで鍵が二つになったとのこと。
手違いってなんですか? 最初から鍵交換して二つ鍵用意してたってことですよね?
担当の方にはたいへんお世話になったので本当に心から感謝していたのですが、彼女の背後に大きな闇が見えてなんとも言えない気持ちになりました。
最終的には
こうなりました。
最初に書いていた通り一番最初にもらった25万円の見積書は紛失(たぶん捨ててしまった)してしまったのでないのですが、店頭で口頭で削ったあとの見積書が上記のものになります。今まで書いていたとおり、仲介手数料をちょろまかしていたり、無駄な費用がありますがスッキリと綺麗さっぱりなくなっています。保証会社の初期契約料がどうしても削れなかったのが痛いですが、大家側も家賃を払わない入居者への対応などもあるためしょうがないですね。
さいごに
僕は初期費用を削減することができてとても満足しています。二週間くらいネットなどで下調べして内覧まで行きドタバタした引っ越しでしたが、およそ二十万円も浮いたので自分でも驚きました。僕の物件は保証会社は必須とのことで、その初期利用料が四万発生するのでそれがなければ二十四万浮いてます。
普通二十五万なんて二週間じゃ稼げないですよ。それに二週間毎日調べていたわけではないし、隙間時間に条件に当てはまる物件を調べるのと平行してやっていただけです。引っ越しのメインは物件を探すことですし実際ほとんど物件の画像や動画や周辺の地図見たりしていました。
引っ越しはお金がかかるものです。賃貸契約とは別に家具やその輸送費、移動費や当面の生活費など本当にいろいろなお金がかかります。僕は浮いたお金でパナソニックのドラム式洗濯機を買いました。本当に割く時間や労力は少ないので引っ越しの際は是非参考にしてもらえると幸いです。
そして現状の不動産業の実態ですが、将来的にぼったくりしない、サービスの質で勝負しているお店でいっぱいになればいいなと思います。そのためにも借りる側がある程度の知識と認識を持ち、いい業者を選んで契約するのが当たり前になればいいですね。個人的には国が介入する必要がある規模の話だと思いますが。土地や賃料が安くなる(ぼったくりをやめるだけ)ということはすべての業界に影響があるということですよね。