僕が体験したADHDの検査と検査結果

  • ADHD及び発達障害の検査方法
  • CAARSとWAIS-IIIの評価項目と知能検査で見られていること
  • 検査当日の流れとWAIS-Ⅲでやったこと
  • 検査結果(画像)
  • WAIS-Ⅲをやる意義

ADHDの検査方法

ADHDやASDなどの発達障害の検査方法は大きく分けて二種類あります。

まず一つは心理検査です。簡単に言うとこれはインターネットでできる発達障害の簡易診断のもっと項目が多いやつです。僕の病院ではCAARSという心理検査の方法をとっていました。記憶が曖昧なのではっきりとは言えませんが一つの設問について当てはまるかを1から5の五段階かYESかNOの二択のような形で答えていきます。

もう一つは知能検査です。いわゆるIQ検査ですね。僕の病院ではWAIS-Ⅲという検査方法をとっていました。どちらかというとこれが検査のメインだと思いますが、とにかくこの二つを心理士さんと個室で二人きりになってやりました。

CAARSとWAIS-Ⅲと知能検査で見られていること

CAARSの項目は8個に分けられている
  • 不注意/記憶の問題
  • 多動性/落ち着きのなさ
  • 衝動性/情緒不安定
  • 自己概念の問題
  • DSM-IV 不注意型症状
  • DSM-IV 多動性ー衝動性型症状
  • DSM-IV 総合ADHD症状
  • DSM-IV ADHD症状
CAARS=Conners’ Adult ADHD Rating Scalesの略。カーズと読むがJOJOとはなんら関係ない。

WAIS-Ⅲの項目は7個に分けられている
  • 全検査IQ 一般的に言う知能指数IQ。言語性IQと動作性IQで算出される。平均は100
  • 言語性IQ 言語概念形成、言語による推理力、思考力。習得知識。言語理解と知覚統合で算出される。
  • 動作性IQ 非言語による推理力・思考力、空間認知、視覚-運動協応。作動記憶と処理速度で算出される。
  • 言語理解 言葉による知識を状況に応じて使い分ける力。
  • 知覚統合 目で見た情報から論理的に考える力。
  • 作動記憶 所謂ワーキングメモリ。一時的に情報を保持し,同時に処理する力。
  • 処理速度 目で見た情報を素早く正確に処理する力。単純作業の早さ。
WAIS-Ⅲ=Wechsler Adult Intelligence Scale 3rd editionの略。ウェイスと読む。ウェクスラーという心理学者が考えた。WAICというのもあるがそちらは子供用でWAISは18歳以上の大人用。

言語理解 ことばでまとめたり説明したりする力。結晶性知能と言われるこれまでの経験や知識が土台となる知能も測られるが、明文化されていない社会的なルールや既存化されていない概念などを捉える力も測られる。言語理解が高い人は言葉で表現することが得意だが必ずしもそれがコミュニケーションをとることの得意さに結び付くわけではない。

知覚統合 目で見た情報から論理的に考える力。流動性知能と言われる新しい情報への適応に必要な能力についても測られる。知覚統合が高い人は常識に通じており空気を読むといったことが得意。感覚的に集団や多数の考えを汲み取ることができる。

作動記憶 所謂マルチタスクに結び付くような力。作動記憶が高い人は職場などで口頭での指示を受け取りやすく、短期的な記憶を覚えていられる。反対に低い人は耳から入った情報を覚えておくのが苦手で口頭での指示が覚えられなかったり、電話応答が苦手。

処理速度 単純な作業を素早く正確に行う力。処理速度が高い人はひたすらデータ入力したり内職のような作業が得意。反対に処理速度が弱い人は普通の人よりも作業に時間がかかったりケアレスミスのような単純なミスが多い。

発達障害はどれかができてどれかができない。その差が健常者に比べて大きいのだそうです。だから発達障害の生き辛さや悩みの根幹にはこの出来不出来の乖離にあると思います。実際にこれは僕の検査結果に如実に表れていたし過去を顧みても思い当たることはたくさんあります。

知能検査の結果で不安になっている人がいたら安心してください。ここで見られているのは知能検査の出来ではありません。だからあなたの知能指数が高かろうが低かろうが検査結果には影響はありません。問題は各知能指数の差異です。一般的には差異が30以上あれば発達障害だと言われていていますが15以上でも発達障害だというところもあるようです。僕の病院の先生は15以上あれば発達障害と言われていると説明してくださいました。

検査当日の流れとWAIS-Ⅲでやったこと

検査日当日ぼくは朝の8時半に病院へ行きました。受付をしてから30分ほど待ってから9時頃にようやく個室に通されて心理士の先生と二人きりになりました。軽く説明を受けてまずCAARSをやりました。これはインターネットでできる簡易テストのような項目に答えていくだけなので時間はかかりましたがなんとか終えることができました。そしてWAIS-Ⅲをやることになりました。

心理士の先生は小さなカバンの中にいろいろな道具を用意していました。先生はある程度机にそれらを広げるとどれからやるかと言って僕に選択させてくれました。いろいろなものがありましたが僕は最初に積み木のような木でできたブロックが目についたのでそれを選びました。すると先生は他の道具をしまって積み木の課題が始まりました。内容は確か先生が積み木で組み立てたある形を例として僕に見せたあとにばらばらに崩し、それから僕は最初から先生の組み立てた形を再現するといったものだったと思います。積み木の課題が終わったあとも課題は続きました。僕はそれらがとても興味深くて面白いと思っていました。覚えているのは漢字の読み書き、言葉や世の中の仕組み、概念の説明、何枚かの絵の入れ替え、間違い探し(ウォーリーを探せ的なやつ)様々な計算、数字の並び替え、指定された数字などを早く正確に書くなどなどです。

僕が得意だったものは漢字の読み、言葉の意味の説明、世の中の概念やルールの説明、あるものとあるものの共通点をあげるといった課題でした。そして反対に不得意だったものは算数の問題の計算、数字と仮名の並び替えです。得意だったもの以外はほとんど不得意だったのですが特にこの二つは学校のテストだったならば0点なんじゃないかと確信できるほどできなかったです。

まず得意だった言葉の意味や概念の説明、共通点をあげるといった課題。これらははっきり言ってとても楽しかったし普段考えることが好きだった自分には苦には思わなかったです。

法律があるのは何故ですか? リンゴとバナナの共通点は何ですか? 森羅万象とは何ですか?

これらは実際に僕が心理士の先生に問われたものです。だいたい答えていたし真剣に考えたいという気分だったため塾考を交えつつもすらすらといくつも言葉が浮かんできたので答えていました。漢字の読み書きは恥ずかしい結果でしたが昔から僕はこういった傾向が強く、学校のテストなども最初の漢字の読み書きなどはまったくでしたがそれら以外のいわゆる作者の心情を答えなさいみたいなものは得意だったと思います。僕はとにかく教科書や学校の先生が嫌いで授業もろくに聞いていなかったので参考にはならないと思いますが、自分ではなんとなく合点がいきました。

そしてまったくできなかった課題。まずは計算です。計算といってもいくつか種類があります。1+1=のように数式がすでにあるもの、○○さんはリンゴを1個持っています~のように文章問題としてあるもの、さらに文章問題を口頭で聞いて自分で計算式を構築するなどです。今回僕がまったくできなかったのは口頭で文章問題を聞いて計算する課題です。

単純な計算は問題なかったと思います。昔から計算は嫌いでした。計算機があるからいいじゃないかという拘りや、家でもできるような単純な計算を算数や数学の授業が始まると永遠と繰り返されていたという体験が尾を引いているのかもしれません。ですが実際に紙に書いてある所謂学校のテストのようなものはできていました。ですが先生が問題を読み上げたとたん僕は計算はおろか脳内で計算式を構築することすらできなくなってしまったのです。

その文章問題は覚えていないので説明のために例を用意したいと思います。なんてことない簡単な問題です。

aちゃんが飴玉を袋の中に12個持っていました。aちゃんはbくんに5個あげました。bくんは1個でいいと言って4個aちゃんに返しました。cくんが袋の中から5個持っていきました。袋の中にある飴玉は何個ですか?

簡単な問題ですよね? 計算式は人によって変わるかもしれませんが12-5+4-5=としておきます。このくらい僕だってできます。ですが僕は先生が文章を読み上げる平坦な声色に思考をかき消されてしまって最初の12という数字すら思い浮かばなくなってしまったのです。これは本当に衝撃でした。別の距離や時間の問題も読み上げてもらいましたがやはり結果は同じでした。

次に数字と仮名の並び替えです。これは説明しずらいのですが簡単に言うと先生が無作為にあげた数字や仮名の羅列を指定された順番に並べ替えるというものです。僕はこれもあまりできませんでした。先生が数字だけあげたり仮名だけあげたりするものはできるのに数字と仮名が組み合わさった瞬間びっくりするくらいできなくなりました。

これも簡単な作業なんです。先生が915473と言ったら134579と並べ替える、えあおういと言ったらあいうえおと並び変える。いたって簡単な問題なんです。ですがそれらが組み合わさると本当に嘘のようにできなくなるのです。

検査結果(画像)

結果はこのようになりました。画像のものと同じですがグラフで結果を表示した用紙もいただきました。それと心理士の先生の総合所見もついていました。僕の場合は来院時にそれらを渡されて主治医の先生から説明を受けました。分かりにくいのでまずはCAARSから

見ての通り非常に高い数値となっています。自己概念の問題の項目だけ低くなっていますが主治医の先生からはこれでも平均より上だからねと何故か念を押すように言われてしまいました笑 レベルというところに平均をはるかに上回ると書いてありますがこれはグラフ表示の用紙も同じで起伏のないグラフを見たのは初めてでした。

WAIS-Ⅲです。IQが77で境界線となっています。言語理解は得意なほうではあるということですが作動記憶が尾を引いて言語性IQは96となっています。問題は言語理解が111で平均より上であるのに対して他の項目がかなり低く知覚統合にいたっては57となっておりその差は54もあります。上記で記したとおりこの差が生き辛さなどに繋がり15から30あると発達障害の疑いがあると言われています。主治医の先生からは時間をかけて調べていく必要があるが現時点ではADHDだと言ってもまず間違いはないだろうと言われました。

心理士の先生の総合所見も一部紹介します。

「言語理解に関する課題がよくできており単語の意味について答える課題では得点にはならなかったもののなんとなくの意味は理解しているものも多く、言葉でのやりとりは得意である」

「知覚統合に関する課題は苦手であり、視覚情報を注意深く見て判断するなどの力はかなり弱いと思われる。視覚情報を理解する場合には言葉での説明を添えると理解しやすくなる」

「処理速度に関する課題もあまり得意ではないが、速さと正確さを求めずゆっくり丁寧に進めるようにすると処理できる」

WAIS-Ⅲをやる意義

発達障害の検査に関わらず興味のある人はぜひやってみるといいと思います。確か5000円ほどでできたと思います。

僕は今回検査をやってみて今まで疑問に思っていたことや自分に対する評価が診断結果をもとに確信に変わりました。それから主観では見えなかった気づきがありました。医学や心理学などを妄信することには辟易しますが、自分を客観から見たものとして認識できたことに心から感謝します。

発達障害は治るものではありません。ですがこの診断結果はこれからの生活に必ず生きると思っています。それは結局のところ僕次第ではあるのですが、僕のペースでなんとかやっていこうと思います。僕の情報が少しでも誰かの役に立てば幸いです。

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